ジュエリーを極めて46年【大阪・心斎橋ジュエリー作家のブログ】

全国競技大会グランプリ第1位&宮内庁より黄綬褒章受勲。

ジュエリー作家・丸川隆英が、気に入った宝石や、
オリジナル作品、ジュエリーへの日々の想いをつづります。

オーダージュエリー専門サロン+アトリエ(大阪・心斎橋)
Jewel Marukawa 
指輪を手にとる会
7月26日に、東京で「指輪を手にとる会」に参加しました。

この会は、紀元前〜20世紀までの「ヒストリックリング」と呼ばれる貴重な指輪の数々を実際に手に取って見るという主旨のもので、業界関係者15名が集まりました。ルーペで隅々まで指輪を見て、それぞれの立場で感想や質問をぶつけ合うという非常に有意義な時間でした。

今回は「ダイヤモンドのカットの変遷」という題での勉強会でしたが、
昔の古いカットのすばらしさに触れ、ふと疑問に思ったことがあります。

何故、昔のダイヤは現代の最先端のカットよりも魅力的に感じるのか。

ダイヤのカット技術は時代とともに進化してきました。
よく光るように計算された現代のカットは、確かにすばらしく綺麗です。
しかし、「コンピュータカット」とも呼ばれる現代のカットは
たくさんの光を反射するように理想の面数も角度も数値化されているので、
どれも同じようで個性のない「整形美人」のような表情をしているように思ったのです。

昔はそのように数値化された規格というものはありませんでした。
ひとつひとつのカットがそれぞれの個性を持ち合わせ、
どこか味があって暖かみを感じられるものでした。

もしかすると、美しいものを生み出そうという気持ちを込めて
人の手でつくられたものには、見る人に何かを伝える力があるのかもしれません。

現在、私は作品を手で1点1点気持ちを込めでお作りしていますが、
そこに暖かみを感じてもらえると言って頂けることもあります。
昔のダイヤに何かを感じ、私はこの仕事にたずさわることが出来幸せだと実感しました。
| その他 | 23:52 | comments(1) | trackbacks(0) |
先日東京での「指輪を手に取る会」では同席させて頂き、一緒に得難く楽しい時を過ごさせて頂きました。ありがとうございます。

丸川様のおっしゃるように、確かに古い時代のダイアモンドほど、外形も研磨も今とは比べ物にならないほど荒く、お粗末ではあるのに、不思議と魅力溢れています。「不揃いな美しさ」とでも表現すればよいのでしょうか?

確かに現代のような工具も研磨剤も無い時代ですから、研磨出来る所を研磨出来るだけの仕事しか出来なかったのかもしれません。

それに、当時宝石の価格は、天文学的な価値を持っていたのでしょうから、カットによる目減りは最小限に抑えなければならなかったのかも知れません。胡椒などが、一粒づつ秤にかけて取引されていた時代ですから。

それでも、その時代に原石を手にしたカッターは、その宝石が最も魅力的に輝くことを願って仕事に当たったのだろうと思うと、時間を越えてその方々の思いが伝わってきたように感じました。

「デジタルは結局アナログを超えられない」とは、よく言われることですが、手仕事でしか出来ないものは大切にされて、残って行って欲しいと私も願っています。丸川様の取り組んでおられるお仕事で、今後も世界に追従を許さない素晴らしい作品が生まれてゆくことを願っております。
| 暁の鴎 | 2008/08/02 11:40 AM |










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