7月26日に、東京で「指輪を手にとる会」に参加しました。
この会は、紀元前〜20世紀までの「ヒストリックリング」と呼ばれる貴重な指輪の数々を実際に手に取って見るという主旨のもので、業界関係者15名が集まりました。ルーペで隅々まで指輪を見て、それぞれの立場で感想や質問をぶつけ合うという非常に有意義な時間でした。
今回は「ダイヤモンドのカットの変遷」という題での勉強会でしたが、
昔の古いカットのすばらしさに触れ、ふと疑問に思ったことがあります。
何故、昔のダイヤは現代の最先端のカットよりも魅力的に感じるのか。
ダイヤのカット技術は時代とともに進化してきました。
よく光るように計算された現代のカットは、確かにすばらしく綺麗です。
しかし、「コンピュータカット」とも呼ばれる現代のカットは
たくさんの光を反射するように理想の面数も角度も数値化されているので、
どれも同じようで個性のない「整形美人」のような表情をしているように思ったのです。
昔はそのように数値化された規格というものはありませんでした。
ひとつひとつのカットがそれぞれの個性を持ち合わせ、
どこか味があって暖かみを感じられるものでした。
もしかすると、美しいものを生み出そうという気持ちを込めて
人の手でつくられたものには、見る人に何かを伝える力があるのかもしれません。
現在、私は作品を手で1点1点気持ちを込めでお作りしていますが、
そこに暖かみを感じてもらえると言って頂けることもあります。
昔のダイヤに何かを感じ、私はこの仕事にたずさわることが出来幸せだと実感しました。